通貨の動きU     (将来予測シミュレーションモデル・デッサン)   2012年8月末


世の中は、1990年のバブル崩壊から早や22年が経過していますが、
長く続く経済不況と地震・大津波被害・放射能汚染が追討ちをかけ、度重なる余震で何となく気だるく低迷と混迷を極めている状態です。
今後、どうなるのか? ある人は悲観的に、ある人は楽観的に見守っている状態です。又は何が問題なのか不明で右往左往している人もいます。
この様な状態の時に、10年〜20年位先の将来が、どの様に変化していくかを推測し羅針盤を個人として持つのは賢明な事だと思われます。

世の中の流れ次第で
、個人個人は翻弄され極度の生活困窮を舐める場合も過去には多々あった事を知っています。知らない人も結構多いです。
どの様な局面においても、それを打開する方法は熟考すれば必ずある。無いとするならば熟考が足らないだけである。
 という観点に立てば誰も恨む事は無く、あえて恨むのは己自身の無知であり無知は無知なりに、それを形に表現する必要がある。と考えます。
とにかく、将来の各種事項について、訳が分からないながらも心の準備をしておけば衝撃に対し打たれ強く耐性が出来るのではないだろうか。

重要な事は、2012年8月末時点で、金利、為替、株、債券、金価額、等々が世界経済情勢を鑑みてどうなるか? を推測する事であります。
 過去のバブルを思い出し、又は、過去22年・40年・50年・66年を振り返って経済情勢が持ち直した事を思い、今後もそうなると考え、
   個人的に訳もわからず上昇の好転時期を指定して唱い願っても、あくまでも個人的願望であり希望的観測である以上詮ない事であります。

そこで、1つの将来予測シミュレーション・モデルの「デッサン」を暗闇の照明灯として記述してみる事にします。
  精密に行うには、数多くの種類のほぼ正確な数値情報があれば良くなるのは当然ですが、巷に流れている曖昧な数値情報で行う事とします。
    手作りの照明灯が低級な場合、少しずつ手直ししていけば良いだけの問題でもあります。
  このモデルの大事な視点は、全体的デッサンが将来の現実と概ね合致するか否かだけで、各人が持っているデッサンの一例でもあります。
 

 (01)長期金利は0.8%以下、預金金利は0.04%以下の状態。

 (02)為替は、この10年間で30〜40%強位に下降している状態。

 (03)株式は、往時に比べ30〜40%強位に下降している状態。

 (04)債券は長期金利が0.8%以下で固定化されているので往時に比べ低いが。現在は安定している状態。

 (05)黄金は、この10年で少なくても300%強は上昇している状態。ある人は10数年で400%位、上昇していると言う。

 (06)不動産は、地震。放射能、液状化の懸念と経済不況もあり全体的に下降している状態。

 (07)政府・地方債務は、種々の数値が有るが全体で国債・地方債等の発行1500兆円以上。
                 税収等は45兆円。国債発行が単年度55兆円以上。米国債保有は1100兆円以上と言う。

 (08)今後、消費税・各種増税等々で、企業経営収入個人収入個人消費を圧迫し更に生産・製造力も低迷し下降化していく状態。

 (09)そうこうするうちに、膨大な国債発行=紙幣増刷によるインフレ、金利上昇化が内国・外国(世界各国)から始まる。
     膨大な紙幣が氾濫しているので、インフレと高金利を呼び込み紙幣価値が減少していく。又、債券・株式・不動産等も下降していく。
     資源国も他国の生産力減少で為替と輸出も下降していく。この様な大局的な流れを見過ごすと失策する。

 (10)金利の上昇化は、各国の債務の利払いを上昇化させ、国家予算をゼロ又はマイナスにし財政運営が崩壊する。
     この場合、国債を発行=紙幣増刷するか、国債とは関係なく紙幣増刷で先延ばしを図る事が出来る。
     しかし、先延ばしをすればするほどマグマが溜まり爆発力(強度のインフレ、高金利化)を増す。

 (11)世界各国(欧州・中国・米国・日本)は膨大な国債発行=紙幣増刷により、ひどいインフレと高金利化状態を招く事になる。
      各国の方策として、ひどいインフレを自ら招いて国家債務を下降化させる事が出来る。
        又、デノミ(例えば1万円を1000円とする)で債務を更に下降化させる事が出来る。
          日本の1946年の大恐慌時の対応は、もう記憶に古いものとなった。60才以下の方には記憶に無いかもしれない。

 (12)この場合、殆どの株式、債券、不動産、紙幣、投資信託等は往時の価値を失う。
      そして、為替は、国内製造能力又は生産力減退又は起爆要因が無い中で大幅安になるであろう。
       例えば、1ドル80円が160円・240円・320円とか。そして、円安で輸入量が激減し、困苦の状態になるだろう。
         過去・長期間。米国等への輸出に頼ってきた欧州・中国・日本は輸出が困難になり生産力の縮小と廃業の憂き目にある状態。

 (13)この時、そのひどい状態から、生産力が復興し始めるのがいつになるか? という事になる。
     早い話、西暦の何年になるかは、誰も教えてくれないし、誰もわからないし、誰も知らない! まして人に問い詰めるのは愚である。
     しかし、無謀にも予測する事が一番重要で、暗闇の照明灯になりうる。兎に角、照明灯が無いよりあった方が良いに決まっています。
      個々人の生活に直接的に影響してくるので、自ら想定し心の準備をするのが大事な事です。

 (14)日本の場合、1946年に大恐慌が有り1964年にオリンピック開催があった。少なくとも1960年には復興途次であった事を 
      考えると、15年後に復興していた。
      現在は生産力・復興力もあるので10年と仮定した場合、2012年+4年+10年=2026年位には復興が始まると考えられる。
       4年という数値は、先延ばし期間として、10年という数値は困難な状況時代として考えるが長引くかもしれない。
         本格的財政悪化が2016年(2012年+4年)から始まり復興時期は現実的には2026〜2030年となるかもしれない。


 (15)大企業、中小企業、零細企業のリストラが激化し、自営業者、個人事業者は職を失い、年金生活者、フリーター、ニート、病人、
      療養者、生活保護者はインフレにより生活困窮化し、公共サービスの低下もあり得る状態になる。治安状態も悪くなってくる。
      公務員も例外では無く、1990年の米国作成のネバダレポートの内容が苛烈に実施されるかもしれない。
     この時点で、力の有る企業は労働単価が安いタイ・ベトナム・バングラデシュ、ミャンマーに進出し又は既に進出し、
      国内の労働市場を更に狭くしてくる。労働市場が狭い故に失業者が増大する。失業保険受給者と生活保護者が激増する。
     言い換えると、国内の労働賃金も安くなってくる。必然的に収入の低下、消費の低下、生産力の低下という悪循環に入る。
     これが国内だけなら多少は救いようがあるかもしれないが世界的な状態になった場合、考えるだけでも恐ろしい状態になる。
      混沌状態というか何が何して何したのか分からず、何を信じて生きれば良いのか? というサバイバル状態も有るのかも。

 (16)ここで大事なことは、黄金価額の有り様である。2025〜2030年位まで、暴騰していくのではあるまいか?
     過去、数千年前から価値保蔵手段であった。少なくとも、1970年位迄は世界のベースであった。
    1970年過ぎ位から信用経済(紙幣・証書での取引)が黄金の担保無しで出来る様になり、取引額が貨幣額量を超過する様になった。
     黄金が、たかだか過去40年位でその役目が終わったと思ったり考えたりするのは、早計では無いのだろうか。
      信用経済下で債券、株式等の一片の保有証明書で、その価値が安全であり、それにより利子がとれると思いこんでいる者が多い。
        崩壊した場合、信用経済に慣れ親しんだが為、実物資産を軽んじたが為に一片の紙切れになりかねない状態になるのかも。

     世界の大恐慌、1946年の大恐慌、1990年のバブル崩壊、2008年のリーマンショックを知らずして、
       又は学習せずして投資を行った愚が具現化される。多くの投資家が失策するのではないだろうか。

     中国・インド・メキシコ等々は大量の金の購入を行っている。特に中国は猛烈に金の生産、金の購入を行い世界一の状態である。
       又、他国の鉱山会社の買収にも積極的に関与している。いずれにしろ金の最大保有国は米国だと言われている。
        各国の金購入等は、将来の世界的・自国のインフレ危惧の為に、猛烈な金保有に走っている。

 (17)仮に為替価格が1$=80円が240円の3倍。黄金価額が3倍になったとすると現行価格の9倍になる計算になる。
      言い方を変えると、当然ながら諸物価も9倍位に高騰している状態になる。金を保有している場合は幸いな時になるかも。
      現在は通常人には手が届かない価格になってゆきつつあります。(2003年位に比べ、少なくとも300%の上昇の状態)
        この時点の高金利下でも、債券・投資信託・紙幣を大量に保有している者は失策する。不況に強い株は別だが。

 (18)では、黄金が下降化するのはいつ頃か? となりますが、社会が生産力を回復し始め社会情勢が安定化し始めた時以降である。
     2030年前後かもしれない。
そして、欧州、中国、米国の動向にも左右される。
     お金の投資で、通常の利益を投資家が回収し得る時で、黄金に投資するより利子で儲ける事が有利である場合以降である。
      留意しなければならないのは、利子率は2016年位から急上昇を始め2030年前後から下降していくという流れでもある。
        適正な社会情勢に適正な利子率が回帰していく様に、黄金も同期を取って下降化していく。

     忘れてならないのは、この時点で国債・地方債等の発行額が大幅激減しているのが必須事項でもある。
        仮にそうでは無く、大幅激増している場合は、慢性の激痛が大幅に延長されるだけの話であろう。

 (19)マスコミ報道(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・週刊誌)を鵜呑みにして盲信している者の場合、現在状況を見間違い失策する可能性が高い。
     真実情報と虚偽情報が混在している為、良質な判断材料とは成り得ないからである。
     余裕資金があり、捨てても良い銭で、株・債券・為替・投資信託・不動産・金、紙幣(預金含む)。等の投資をやれる者は幸いな事です。
     ここは、各人が腹を据えて株・債券・為替・不動産・金・日本紙幣・外国紙幣・各種ファンド等の行く末を注視する必要があります。
      投資と縁もゆかりも無い者にも、当然ながら暴風雨が降りかかってくるのが厳しいところです。
        但々、自分の仕事に忠実に真剣に没頭し質素倹約して生活していくのが賢明なやり方の様です。他の方法があれば幸いですが。

      大局的に見た場合、欧州・中国・米国・日本。等々から発信する「世界的大恐慌」により、1945年から構築されてきた
        各国、及び、各種国際機関の、諸制度・諸組織・諸機能・諸価値観の崩壊の故に、変革(洗い替え)が必然的となったのかも。
          過去70年弱での金属疲労の影響から、再構築の時期がきた。又は、再構築の時期になった。という事かもしれません。

 (20)予想時期を早めたり遅くしたり、又は、恐慌が長引く要因は以下の事項であろう。
         @ 大地震が再び発生し被害が甚大である場合。
         A その地震の影響による原子力発電所、冷却中の使用済核燃料の異変発生の場合。
         B 富士山大爆発と噴煙の蔓延化による異変発生の場合。
         C 他国での戦争が始まり、石油・穀物価額等への影響が甚大である場合
         D 自国(又は自国と他国)での問題が激化した場合。
         E 国債増刷=紙幣増刷を限りなく続行した場合。(発行すればするほどインフレ(恐慌)の強度は増していく)
         F 金融派生商品市場(CDS、CDO等)の現在総額と消却できる額。結果の残高。及び他への蔓延状態が不明である。
         G 欧州、中国、米国が先に財政悪化し危機に突入した場合。
         H 緑色・ドル紙幣と2003年以降に発行された青色・ドル紙幣の今後の使い分け。
         I 異常気象

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